2021/08/29
電カルメーカーが考える、リハビリシステム選定のコツ!
病院の情報化は、いろんな専門分野のシステムが独自に発展し構築されてきた歴史があります。
よって各部門の必要な機能、運用と操作性を重視した形で、より使いやすツールとして各部門メーカが現場に寄り添ったシステム開発を行ってきました。
各部門システムには、医事会計システム、看護支援システム、画像管理システム(放射線部門)、臨床検査システム、調剤システム、栄養管理システム、リハビリシステムなど多種多様なシステムが開発・導入されました。
現在は、病院情報システムとしての中核に「電子カルテシステム」の導入を行うようになり、先行導入されていた部門システムとの連携を行うことで統合した病院情報システムの構築を行うようになってきています。
電子カルテメーカも、医師・看護師の記録だけでなく、各部門の記載事項も包括した機能へ発展し、各部門システムの一部を電子カルテの機能内に包括する様になってきています。
本コラムでは、電子カルテシステムに包括された機能と専用部門システムの選択のポイントについてお話します。
機能的な比較
やはりリハビリ部門システムが優れています。
リハビリ部門システムの方が機能的にも、操作性においても電子カルテのリハビリ機能に比べて優れていると思います。それは、導入ユーザ数による経験値の違い、いろんな現場での運用実績により、細かな機能が充実していると考えられます。
電子カルテのリハビリ機能は、電子カルテの延長線上で開発しているため、記載内容がすべて「電子カルテ3原則」に準拠したシステム構築をしている点になります。
操作性の統一性を重視することで、画面構成、操作性などの点で部門システムに比較して劣ってしまう点があるように感じています。
データの共有
メリットとデメリットを把握することが重要です。
患者の診療に関する情報は、共有化する内容も多く発生します。部門システム内だけの共有情報と医師、看護師、コメディカルで共有しないといけない情報が存在します。
その際の運用としては、下記の2つの方法になります。
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①リハビリ部門システムで登録して、共有する情報は電子カルテで参照・登録を行う。
部門システムだけの入力と電子カルテの入力を分けて登録するので、運用が面倒になる。
必要に応じて両方のシステムに2重登録の運用手間が出てしまう。 -
②リハビリ部門システムで登録して、電子カルテシステムと連携を行う。
部門システムだけを利用した登録を行い、必要情報の連携を行うことで運用はスムーズにできる。
しかし、連携におけるリハビリ部門システム側及び、電子カルテシステム側の連携費用がかかり、導入コストがアップする。
また、連携障害の発生リスク、保守費用アップも考えられます。
電子カルテシステムとして部門システムを統合したい場合
「カルテ3原則」がキーになります。
ここで、リハビリカルテも電子カルテとして運用したいケースは、どうなるのか?
リハビリ部門システムが電子カルテシステムと同様に「カルテ3原則」を担保しているか?
ここが、重要なポイントになります。
リハビリ部門システムが電子カルテとして担保できている場合は何も問題ないですが、できていない場合は電子カルテ側に連携統合することでカルテとして担保する構築方法が一般的には取られています。
また、データの真正性、見読性だけでなく、サーバ構成を含めた保存性においても検討が必要かもしれません。
電子カルテのリハビリ機能(電子カルテ一体型リハビリ機能)は?
リハビリの機能だけを比較すると、部門システムに比べて操作性が悪かったり、不足機能があるのではないかと思います。
では、どういうメリットがあるのかを考えてみました。
- ①電子カルテの3原則を担保した記録ができている。
- ②リハビリ予定の作成時に看護予定、検査予定、各種予定などのブッキングチェックができる。(確認できる、アラート表示機能)
- ③リハビリ予定を病棟機能(看護支援機能)のワークシートに自動反映できる。
- ④看護予定(検査、点滴、入浴など)を、リハビリの機能からも簡単に確認できることで、患者さんの空き時間(リハビリ可能時間)が分かる。
- ⑤リハビリ実施計画書など、リハビリ担当者だけでなく医師、看護師、その他の職種で一緒に記載・作成する書類を一元的に管理し作成できる。
など、リハビリの記事、検査記録、実施計画書の様な各種書類などの作成と電子カルテの3原則を担保した記録として保存できます。
まとめ
リハビリ部門システムの優位性は必ずあります。すでに導入されている場合はなおさらのことです。
リハビリ部門の業務効率化を優先的課題として対応する場合は、専用のシステムの導入が良いと考えます。
ただ、総合的な病院情報システムを考えた場合は、電子カルテの機能に包括したリハビリ機能を利用したほうが利便性、コストメリットはあるように思われます。
もし予算的に可能であれば、リハビリ機能に病院独自の機能をカスタマイズすることでも運用を大きく変更することなく導入することが可能かもしれません。